貧困世帯で育った10代の少年2人が、英国の人気サッカー・チーム「マンチェスター・ユナイテッド」がインドの若い才能を招いて特訓する合宿に参加するため、渡英するチャンスを手にした。
そのうちのひとり、16歳のラジブくんはコルカタの歓楽街の母子家庭で育った。
母親の1日の収入はわずか200ルピーと困窮しているが、「憧れの選手はクリスティアーノ・ロナウド。僕も試合中はゴールのことだけを考えている」と夢を語る。
その境遇から、何度かいじめに遭ったことがあるというラジブくんだが、ハードなトレーニングに集中するあまり、じきにほとんど気にならなくなったという。
「早くプレーヤーとして成功し、母を助けたい」ラジブくん。
インドといえば国民的スポーツのクリケットを連想するが、西部沿岸州のゴアでは、むしろサッカーが盛んとなっており、毎年全国の優秀な10代を発掘するトレーニング・キャンプが行われている。
ラジブくんはそのキャンプに参加し、その才能を認められ、今回11名の渡英研修に参加する機会を獲得した。
もうひとり、母親が露天商を営む貧困家庭から選ばれたアルカ・デイ(16)さんは、3年前に父をガンで亡くした後も、父の夢でもあるサッカーでの成功を追い求め続けた。
「(ブラジルのスター選手)ペレの大ファンだった父は、私の最初のコーチでもあった」
「クリケット大国」インドに、サッカー文化を築こうと、最近は「リバプールFC」がマハーラシュトラ州プネに「国際フットボール・アカデミー」を設立するなど、英国が世界に誇る「プレミア・リーグ(Premier League)」の才能発掘が続いている。