デリー高等裁判所が、イスラム教徒の断食明けのお祭りに当たるイード(Eid)を機会に、粋な計らいをした。
査証の失効により不法滞在となり、警察によって軟禁状態とされていた48歳のパキスタン人女性を8日、特別に解放し、これにより女性はデリーに住むインド人の夫や子供たちなど家族と一緒にイードを祝うことができた。
女性は3カ月前に、有効な滞在査証がないところをデリー警察に取り締まられ、処分が決定するまではホームレス用シェルターに収容されていた。
同高裁は今後3カ月以内に、インド政府が女性が17年前から申請しているインド国籍取得を認めるかどうか、最終決定することを条件に、女性にデリーの自宅への帰宅を許可した。
この女性と夫であるインド人男性は、1980年代に夫がパキスタンの親戚宅を訪れた際に知り合った。
2人は1983年に恋愛結婚し、女性は有効なインド査証を取得した上でデリーの夫宅で暮らしてきたが、1994年にパスポートが失効した際、パキスタンの当局からインド国籍を申請するよう求められたという。
ところが申請して17年以上が経過しても、インドとパキスタンの間の政治的・軍事的緊張などの事件を背景に、受理が進まなかった。
先週、ジャンムー・カシミール州の国境付近でインド軍とパキスタン軍との抗争が発生、5名のインド人兵士が殺害されるという事件が発生したことにより、女性は不安を隠しきれないが、「インドは今や私の家。子供たちも、今は孫たちもいる。パキスタンに帰ることは考えられない」と話している。