インド商工会議所連盟(Federation of Indian Chambers of Commerce and Industry:FICCI)と、全国病院計画・管理顧問法人グループ(Hospital Planning & Hospital Management Consultants Companies in India:HOSMAC)の共同調査によると、海外からインドへ質の高い医療サービスを安く受けようと訪れる、いわゆる「医療ツーリスト」が年間50万人を超え、さらに増え続けていることを明らかにした。
9月29日付ナブバーラト紙が報じた。
調査では米国、英国、中国、ブラジル、アラブ首長国連邦の医療サービスと比較して、治療分野によってはインドでは10分の一ほどの医療費で済むことを挙げている。
例えば米国と比較すると、血管形成治療なら79〜82%、心臓バイパス術なら92〜93%、また美容整形手術なら脂肪吸引が67〜82%、しわ取りが44%以上、インドでは安く受けられる。
近年の傾向としては、疾病や複雑な手術のみならず、美容整形手術のために訪れる人も著しい増加がみられると指摘している。
国内の代表都市の中でも医療ツーリストが多いのはチェンナイで、設備と医療スタッフに定評のある大病院が整っている。
また病院によってはリハビリプログラムを展開しているほか、葬儀を実施しているところもあるという。
海外からインドを目指し医療サービスを受けにくる人たちの中には、先端医療はもとより、数千年の伝統のある伝統医学アーユルヴェーダや、ヨーガといった健康法との組み合わせによる治療を期待する人も少なくない。
特にインドでは日常的に取り入れられているアーユルヴェーダ医学は、国によっては施術の導入が禁止されている。
ただし国内の患者に対する床数も不足傾向にある現状で、増え続ける医療ツーリストに制度としてどうバランスを取って対応していくのかも課題のひとつとなっている。
インド国内では医療ツーリストを受け入れるためには、一定の基準を満たした認可が必要になるが、高まり続ける需要に対応しようと多くの病院が認可の申請に動いており、結果として医療設備の一層の向上に結び付いていると捉える人もいる。