先月28日、75歳の誕生日を迎えたことを機に、インド最大の財閥企業タタ・グループ(Tata Group)を取り仕切ってきたカリスマ経営者、ラタン・タタ(Ratan Tata)がついに、静かに自らの「帝国」を退くことになった。
これに寄せた何らの公式な行事は予定されていないことも世間を謎で包み、同グループ本社であるボンベイ・ハウス(Bombay House)には報道陣が詰め掛けている。
ラタン・タタ氏は退任に寄せ、ただ一通の手紙をしたためた。
その中では2008年にムンバイのタージ・マハル・ホテル(Taj Mahal Hotel)を襲ったテロによって、多くの人が犠牲となった事件にも触れ、「ひとりひとりの自己犠牲や、忠誠心、勇敢な行為の記憶が、わたしの脳裏を去ることは永遠にないだろう」と書かれている。
1868年にジャムシェトジー・タタ(Jamsetji Nusserwanji Tata)が設立して以来6代目の、そして「タタ」姓を名乗らない2番目の後継者となるのは、持株会社であり同グループの総元締であるタタ・サンズ(Tata Sons)の取締役であり、また同取締役会によって1年前にすでに任命されていた、44歳のサイラス・ミストリー(Cyrus Pallonji Mistry)氏だ。
ミストリー家は建設業界の有力者としても知られており、タタ・サンズ株の18.8%を保有する最大の株主一族でもある。
ラタン・タタ氏は会長職をミストリー氏に譲ったのちは、名誉会長の座に就任することになる。
タタ・グループは今日、傘下に100社以上を収め、1000億ドル以上の収益を上げる、世界80カ国に45万人あまりの従業員を雇用する巨大企業となっている。