熱戦が繰り広げられているロンドン五輪の舞台裏で、36種別の競技を円滑に運営し、またディスプレイに表示するための中核技術の大部分は、フランス系技術企業「Atos」のムンバイおよびバンガロールのセンターで開発されている。
「Atos India」はオリンピック用アプリケーションを1998年から開発しており、オリンピック事業専属開発チームはスペインのバルセロナ拠点と合わせてなんと660名もの規模になるという。
Atos社は全世界に7万5000人の従業員を展開、うち1万人あまりをインドで雇用している。
Atos Indiaのミリンド・カマト(Milind Kamat)CEOはロンドン五輪向けの一連の開発プロジェクトを次のように説明する。
「インド技術者チームは今回、ロンドン五輪での競技運営を補助するアプリケーションの開発に携わった。プログラムの設計は2009年に始まり、2010年からは100名の技術者がロンドンに駐在、全体のブループリントの設計に取り組んだ。2011年にはアプリケーション試験、2012年に入ってからはアップルのiPadやスマートフォンを含む様々なモバイル・デバイス上で高画質の映像を円滑に表示するための管制塔の役割を果たすテクノロジーセンターの設立に専心してきた」
さらに同社は、国別のアスリートの登録、24時間体制の勤怠管理をはじめ、CRM(顧客関係管理)、ヘルプデスクなどのシステムの開発および管理を含む、ロンドン五輪の競技試合全体の運営に関わるアプリケーションの開発にも携わっている。
カマトCEOによれば、2000年までは五輪にまつわるコミュニケーションの多くは新聞など印刷媒体が中心だったが、21世紀に入ってからはケーブルテレビの爆発的普及などにより電子媒体が急速に取って代わり、さらに現在はインターネットやソーシャル・メディアなどが中心となっていることもあり、「遅延なく競技の模様が配信できる技術が非常に重要な鍵となる」と話している。