世界で最も速く成長を続けるインドの自動車市場。
この強力な成長曲線を受け、1989年以来ほぼ20年ぶりに、最高速度制限の引き上げが行われることになりそうだ。
改正後は現在の最高速度制限である時速80キロから、時速100キロになる見込み。
今回の見直しは、1947年のインド独立後最大規模のインフラプロジェクトとして、全長2300キロ、およそ9000億円を投入し、デリー・ムンバイ・チェンナイ・コルカタという4大都市をダイナミックに結ぶ、建設中のハイウェイ、通称ゴールデン・ダイアモンド(Golden Quadrilateral)の完成を見越したもの。
自動車コラムニストのムラド・アリ・バイグ(Murad Ali Baig)さんは、「これでようやく、5速ギアが存在する意味ができましたよ」と呟く。
バイグ氏は、「10年前は、ほとんどの車がハイスピードに耐え得る設計ではなかったため、実現しようにも考えられませんでした」と述壊する。
道路の状態が良くなればなるほど乗用車の年間売上も伸びて、2012年までに現在の2倍である230万台となることが予想され、そうなれば、世界最速市場である中国を凌ぐだろう。
トヨタやBMW、ルノーなどが次々と国内での製造を開始し、自動車産業花盛りとなっているいま、どの先進国も通過してきた、最も深刻な問題がそこにある。
それは、交通死亡事故件数の増加だ。
2005年には、9万6,000人もの犠牲者があったという記録も出ており、スピード制限を引き上げれば、この数字が大幅に上昇するのではというのは当然の危惧である。
「政府が運転免許証の交付を厳格化するべきです。現状では、お金さえ出せば誰でも免許が取れてしまいます。ひどい例だと、盲目の人にも免許が交付されたという噂もあるぐらいです」
スピード制限の引き上げはけっこうだが、インドの路上はあまりにも「スローライフ」であり、牛やロバから始まり、手押し車、自転車、サイクルリクシャー、オートリクシャーなど、すばらしいバラエティに満ちている。
「車のことばかりではくて、公共交通機関の整備を急ぐべき」とは最も的を得た環境保護家の弁。