1988年8月から2006年8月まで、パリのシャルル・ド・ゴール空港で18年間「暮らした」イラン人、アルフレド・メヘラン(Sir Alfred Mehran)にインスピレーションを受けたスピルバーグ監督の傑作、「ターミナル(Terminal)」。
トム・ハンクスの名演技と併せて記憶に新しいこの映画を地で行くような出来事が、サウジ・アラビアへ出稼ぎに行くことになっていた2名のバングラデシュ人に降りかかった。
2人は3月7日、インド航空(Air India)ダッカ発デリー経由、リヤド着の飛行機に、希望に胸を膨らませ搭乗した。
ところがリヤドに到着すると、税関の審査を通過するための書類が整っていないため、直ちに出国しなければならないというまさかの事態が待ち受けていた。
2人がリヤド行きのため利用した、悪徳エージェントの巧妙な詐欺に引っ掛かってしまったようだ。
こういったケースでサウジ・アラビアの税関は、旅行者からパスポートを回収し、代わりにダッカへ戻るための臨時チケットを発行することになっている。
そこで2人は仕方なく、8日のダッカ行きフライトで帰国の途に就くが、またしても問題が発生する。
バングラデシュの入国管理法では、パスポートを持たない者はいかなる状況においても入国を許さないとしているため、2人は帰国すらできなくなり、新しいパスポートが発行された4月26日までの48日間、デリーのインディラ・ガンディ国際空港で立ち往生する羽目になったというわけだ。
騙された彼らには責任がないため、デリー滞在中の食事代や滞在費はインド航空が負担することになったが、空港内のレストランは高額なため、2名で計10万ルピーもの出費になってしまったという。
救いだったのは、この2人は決して不満を周囲にぶつけることなく、終始穏やかに過ごし、時に「ひまつぶし」のためレストランの手伝いを申し出ていたと報告されている。
Translated by: Yoko Deshmukh