タイム(Time)誌の人気特集「世界の権力者100人」リストで2007年、最も注目を集めているのは、国民会議派(Congress Party)総裁のソニア・ガンディ氏、鉄鋼王ラクシュミー・ミッタル氏、ペプシコCEOインドラ・ヌーイ氏だ。
特に、アジア版の表紙を飾ったソニア・ガンディについて、同誌は力を入れて解説している。
「遠い異国から、国内で最も名のある一族に嫁いだ。大統領だった夫の死後も祖国に帰ることなく、16年の時を経て、インド最大の政党、国民会議派の総裁に登りつめた。
彼女はサリーに身を包み、自らに与えられた職務をこなしている。学位を持たないヒンドゥ教徒のインド人女性が、米国を統治すると仮定しよう。米国はキリスト教徒の白人男性以外は、大統領はおろか、副大統領としても断固として認めないのは明らかだ。しかし一方で、米国より巨大な民主主義国家であるインドは、事実上、高校教育までしか受けていないカトリック教徒のイタリア人寡婦に統治されている。
2004年の総選挙で国民会議派が勝利し、彼女に首相の地位が用意された。しかしガンディアン(かつてインドを独立へと導いたマハトマ・ガンディの思想に従う人々)である彼女は、『自らの内なる声に従って』その地位を辞退し、経済博士のマンモハン・シンを指名するという英断を採った。
このことが彼女の政権維持を確固たるものにした。首相の座を辞退するという行為は、一般国民に大きな共感を抱かせた。首相にはならなかったが、政界の実権を握っているのは事実上、60歳になるソニア氏だ。
また、衰えることのない権力という遺産は、息子ラフールと娘プリヤンカに引き継がれ、どちらかがインド首相に上り詰める日が、いずれ来るかもしれない」と記述している。
このリストにはエリザベス女王2世、スーダンのアル・バシール大統領、キューバのラウル・カストロ第1副議長、イラン最高指導者アリ・ハメネイ師、胡錦涛中国国家主席、サウジアラビアのアブドラ国王、そしてローマ法王ベネディクト16世も登場している。
今年のリストには27カ国からの人物が登場し、その内訳は女性27名、男性71名。
100名中54名を米国勢が占め、次いで英国から10名だ。
タイム誌はまた、世界最大の鉄鋼メーカー、アルセロール・ミッタル社CEO、インド出身のラクシュミー・ミッタル氏について、「ミッタルはカーネギーの再来だ」と表現している。
スコットランド系米国人の実業家、アンドリュー・カーネギー氏は、かつて米国の鉄鋼業界を制し、慈善家としても広く尊敬された。
「両者とも他の同業者を遥かに凌ぐ展望を持っていた。また両者とも激しい反発勢力に打ち勝ち、不可能だと思われる高いハードルを跳び越えてゴールに到達し、人々を驚愕させた。
カーネギーは米国における鉄鋼業界の統合を果たし、対するミッタルは鉄鋼業界を世界規模で統合するという夢を実現し、ともに富と権力を手に入れた」と記述している。
またヌーイ氏については、
「驚くべきは、彼女の人物像ではなく、引き継いだ世界の大きさだ。
グローバリズムという考え方は、彼女がペプシコに就職した10年以上前においても特に新しいことではなかった。しかしながら、展開する地域は変化している。経営コンサルタントとしてのキャリアを活かし、ヌーイ氏はペプシコの戦略担当として、中国、中東諸国、そして母国インドでの事業拡大に貢献した
『典型的な米国産製品を生産する、典型的な米国企業』のペプシコが、米国出身でない(さらに言えば男性でもない)人物をCEOに任命したのは驚くべきことではない。なぜなら、ペプシコの飲料や食品、スナックの売上351億ドルのうち40パーセントは、米国以外の国々からのものであり、同社の成長は海外部門に大きく頼るものだからだ」
とタイム誌は紹介している。
Translated by: Kiyoka Onuki