近年、その栄養価の高さから「スーパーフード」のひとつとして注目されているラクダ乳。
牛乳より3倍以上のビタミンC、10倍あまりの鉄分を含有していることから、欧州連合(EU)では近年になり圏内へのラクダ乳の輸入を許可、これを受けて中東諸国ではラクダ乳の生産が活況を呈しているとされている。
そこでインドでも例外なく、ラクダ乳の生産強化に乗り出そうとしている。
インド食品安全規格協会(FSSAI)では現時点で、ラクダ乳に関する明確な基準を定めていないものの、一部地域では既に生産や流通が行われている。
そのひとつが、ラジャスターン州ビカネールの国立ラクダ研究センター(National Research Centre on Camel:NRCC)で、ラクダ乳や、バター、ギー(精製バター)、パニール(カッテージチーズ)などラクダ乳の加工品を製造・販売している。
ただしラジャスターン州を中心にインドにおけるラクダの頭数は年々減少していることから、今すぐに大規模な生産体制を確立することは難しいだろうと指摘する専門家もいる。
一方で、農村部のブリーダーなど、ラクダ乳およびその加工品市場活性化することにより、収入増を期待している人々も少なからず存在する。
こうした背景を受けてグジャラート州政府ではいち早く、ラクダ乳の生産・加工・販売を促進するプロジェクトに1000万ルピーの予算を計上するなどの奨励策を進め、「アムール(Amul)」ブランドで牛乳や乳製品を加工・販売しており、同州に工場を置くグジャラート州ミルクマーケティング協同組合連合会(Gujarat Cooperative Milk Marketing Federation:GCMM)が当初生産に乗り出すことになっている。