10日、最高裁の法廷では1人の少年の保護者を巡り、法秩序ではなく人道的な措置を仰ぐ異例の判決が下された。
8月11日付ナブバーラト紙が報じた。
一連の訴訟は2004年、ウッタル・プラデーシュ州アラハバードに住んでいた当時6歳のアクバルくんが、近所の居酒屋に行く父親についていき、父親が酒を飲んでいる間に行方不明になってしまったことに端を発する。
ところが不思議なことに、両親は警察にいなくなった息子の捜索願を届け出ることはなかった。
アクバルくんはその後、ラクノウでさまよっているところを茶店経営のアイク・ラルさんに保護された。
ラルさんはテレビ番組などを通じて両親を探したが、何の反応も得られなかった。
そこでヒンドゥ教徒でありながらイスラム教徒のアクバルくんを、改宗も改名もさせずそのまま息子として育てていくことを決め、学校にも通わせた。
当時決まりかけていた結婚も、宗教の違う子のいる家へ嫁ぐことを厭う人が多い背景から、破談にした。
3年後、両親はアクバルくんがラルさんと暮らしていることを知ると、アラハバード高裁に「実子が他人に労働者同然に使役されている」と養育権の奪還を求めて訴訟を起こした。
ラルさんはアクバルくんの在学証明書などの証拠文書を提出し、これに対抗した。
アクバルくんもラルさんと離れ両親のもとで暮らすことを嫌がっていることから、高裁は「カーストの異なる者の結婚が一般化してきている現代インドにあって、カーストの異なる親子がいてもよい。子供の意思を第一に尊重すべきだ」との判決を下し、被告側ラルさんが勝訴していた。
最高裁では原告側の両親のうち父が他界したため、母は収入面からも子供を養育していく能力に乏しいとの判断が下されたが、最終的には児童福祉機関でのカウンセリングを実施することで落ち着いた。