
インドの携帯電話通信事業者2社が、電子機器製造大手の米アップル社と、同社が近く発表を予定している、符号分割多重アクセス方式、いわゆるCDMA方式を採用した多機能携帯電話iPhoneのインドへの展開について交渉していることを、関係筋が明かした。
アップル社と、インドにおけるCDMA通信モデルのiPhone販売権を交渉中とされているのは、インド通信大手リライアンス・コミュニケーションズ(Reliance Communications Ltd.)とタタ・テレサービシズ(Tata Teleservices)の2社。一連の交渉は、アップル社がCDMAモデルのiPhoneを製造し、来年はじめにも米携帯電話事業者ベライゾン・ワイヤレス(Verizon Wireless)が販売することを発表しているさなかに明らかになった。
「タタ社はアップル社とこれまで4、5カ月ほどかけて話し合いを続けている」交渉当事者に近い情報筋は語る。インドで販売される時期などの詳細については一切分かっていない。
インドにおけるアップル社広報担当のアナンド・バスカラン(Anand Baskaran)氏はコメントを控えている。
アップル社は別途、ドイツにおけるiPhone販売事業者を2社、新たに追加することを決定している。欧州最大の市場を抱えるドイツでは、新たにスペイン系世界的大手テレフォニカ(Telefonica SA)傘下のO2(オーツー)、英ボーダフォングループであるPLCの2社が12日、来週中にもiPhone最新型端末「iPhone 4」の販売を開始すると発表した。これによりクリスマス商戦に先駆け、同国ではiPhoneに関してこれまでのドイツ・テレコム(Deutsche Telekom AG)独占体制が崩れ去ることとなる。
インドでは現在、バルティ・エアテル(Bharti Airtel Ltd.)とボーダフォン・エッサー(Vodafone Essar Ltd.)がiPhoneを取り扱ってきた。うちボーダフォンでは、携帯電話の通信方式として世界的に最も普及しているGSM方式でiPhoneを使用できるようにしている。ボーダフォンはまた、米大手通信事業者ベライゾン・コミュニケーションズ(Verizon Communications Inc.)と共同でベライゾン・ワイヤレスを経営している。
アップルがインドでのCDMA方式のiPhone販売に踏み切れば、毎月1800万人というペースで契約件数が伸び続け、世界で最も急速に成長するテレコム市場における、新たな顧客層を獲得することになる。インドにおける携帯電話契約件数は現在6億7000万件で、うち20%はCDMA方式の端末が占めている。残りはほとんどがGSM方式だ。
前述のインド事業者2社にとって、CDMA方式のiPhone販売権を握ることは、同国における熾烈な競争下で売上自体が薄くなり続ける中、優位に立てる可能性が与えられることになる。現在、インドにおけるiPhoneの価格は最安値でも670ドル以上かかる。人口の42%が1日1.25ドル未満の収入で暮らしていることを考えると、異常な高額であると見なさざるを得ない。
また、アップルがCDMA方式のiPhoneをインドに展開したとしても、大きな売上を遂げることは難しいだろうとアナリストらは分析する。GSM端末ほどの普及が進んでいないことと、フィンランドのノキア(Nokia Corp.)、香港HTC(HTC Corp.)、韓国サムスン(Samsung Electronics Co.)、カナダのリサーチ・イン・モーション(Research In Motion Ltd.)などの競合が、既に激しい顧客の奪い合いを繰り広げているためだ。
さらにそこへ、米検索大手グーグル(Google Inc.)も、インドの無名端末メーカーと協力し、同社携帯電話向けオペレーティング・システム(OS)アンドロイド(Android)搭載機を含めた低価格な端末を、今後数ヶ月間かけて販売する準備を進めている。
「リライアンスやタタがCDMA対応iPhoneを発表する可能性はアップルのインド参入を確かに補助するかもしれないが、それでも大幅な売上向上にはつながらないだろう」米スマートフォン調査会社キャナリス(Canalys)のシニア・アナリスト、ダリル・チャイアム(Daryl Chiam)氏は厳しい見方を示している。
チャイアム氏によれば2010年上半期、インドにおいてアップルが占めるスマートフォン市場シェアは1%にも満たなかった一方、ノキアは同時期、180万台のスマートフォンをインドに出荷、これはシェアにして71%を占めている。
Source:Indian Firms in Talks to Sell iPhone