
(picture from The Hindu)
偉大なシタール奏者で、その類い稀な演奏によりインドの伝統楽器を蘇らせ、数々の著名アーティストとセッションすることにより、インド音楽を広く全世界に広めた楽聖、ラヴィ・シャンカル(Pandit Ravi Shankar)氏が、米国サンディエゴの自宅で12日、息を引き取った。
80年以上に渡る演奏人生の中で、シャンカル氏の演奏はインドの宝石賞(Bharat Ratna)やグラミー賞など、国内外で最高の賞の数々を受賞してきた。
近年は呼吸器や心臓の病に苦しんでいたシャンカル氏は、12月上旬には心臓弁置換手術を受けていたが、治療の甲斐なく旅立った。
シャンカル氏は、やはり世界的アーティストであるノラ・ジョーンズ(Norah Jones)をはじめとする3人の娘を残している。
著名ヴァイオリニストのユーディ・メニューイン(Yehudi Menuhin)、ビートルズ(The Beatles)のジョージ・ハリスン(George Harrison)などとの競演を通じ、シャンカル氏は今日フュージョンと呼ばれる、インド古典音楽の新しい解釈を確立した。
シャンカル氏の音楽の特徴は、こうした競演を通じてもインド古典音楽としてのアイデンティティを決して損わなかった点で、またその演奏は音楽へのあふれる愛情に満ちていた。
晩年は高齢で持病があったにも関わらず、拠点としていたサンディエゴでのコンサートに積極的に出演、また11月上旬には娘であり、やはりシタール奏者のアノウシカ・シャンカル・ライト(Anoushka Shankar Wright)さんと、カリフォルニア州ロングビーチでセッション・ライブを行ったりするなど、精力的な演奏活動を直前まで続けていた。