先週月曜日に爆弾テロが発生し、180名以上の死傷者を出したボストン・マラソンに参加していたインド系アメリカ人の整形外科医が、率先して怪我人の応急処置に当たる姿がまるで「英雄」のようだったとして、事件現場に居合わせた人の記憶に留められている。
この医師、ヴィヴェク・シャー(Vivek Shah)さんは、ボストンのニュー・イングランド・バプティスト病院に勤務する整形外科医で、爆発が起こった際にはちょうどゴールラインに足をかけようとしていたところだったという。
一度目の異常な大炸裂音を聞いたシャーさんは「一瞬ひるんだものの、そのままゴールしてしまった」と正直に回想する。
続けて2度目の爆発音が轟き、「応援に来ていた家族全員の無事を確認できたこともあり、まずは現場へと駆けつけた」
「事件現場には、硝煙がなおも立ちこめる中、片足ないし両足が爆発の衝撃による外傷性切断でもぎ取られ、なおも何が起こったかを飲み込めず呆然とする怪我人であふれていた。あれほどの惨状を目にしたのは私の医師人生でも初めてだ」シャー氏。
シャー氏は救急隊員が到着するまでの間、続けての爆発が発生するかもしれないという恐怖も顧みず、応急措置が必要な怪我人の手当や止血に当たった。
「私の頭にあったのは家族の顔だけだった。あの現場に居合わせた私たちの誰もに降りかかったかもしれない、恐ろしい運命だ」