
インド政府は20世紀を代表する映像芸術の巨匠、故サタジット・レイ(Satyajit Ray)が製作した、ヒマラヤの中麓シッキムを描いた作品、その名も「シッキム(Sikkim)」を40年越しに解禁した。
BBC通信が伝えた。
今回解禁された映画は1970年ごろ、当時は王国だったシッキムで、最後の王パルデン・トーンドゥプ・ナムギャル(Palden Thondup Namgyal)の意向で、観光客の招致を期待して撮影されたもの。
しかし1975年に同国がインドに併合されてから論争の種となり、長らく上映が禁じられていた。
独立国としてのシッキムの最後の数年間を描く貴重な記録ともされている。
レイ氏は1992年4月に故人となったが、亡くなる数週間前にオスカー賞の生涯功労賞(Lifetime Achievement)を受賞している。
長男で、やはり映画監督のサンディープ・レイ(Sandip Ray)氏は解禁を喜び、「間もなく公開されることを願う」とBBCに語った。
「父の撮影について様々な季節のシッキムへ出掛け、機材を担いで丘を越え谷を越えした日々、そして王宮に宿泊させてもらった日々を温かく思い出す。父はシッキム王の妻でアメリカ人のホープ・クーク(Hope Cooke)と親交があり、彼女の力添えで撮影が叶った」
ところが撮影が終了してみると、王と王妃の激怒を買うことになってしまう。
なぜならレイは、ガントク(王国の首都、現在はシッキム州の州都)の王宮裏の、残飯置き場に群がる貧しい人々の姿も捉えていたからだ。
「問題のシーンをカットして再編集するよう要求され、父はその通りにしました。しかしその間に、シッキムはインド領になってしまい、インド政府からは上映が禁止されることになりました。それ以来、親しい人たちの間でのプライベート上映以外、一般に公開されることはありませんでした」レイ氏は説明する。
一般公開の時期については明らかになっていないが、数ヵ月後になる見通しだと関係者は話している。
シッキムを鑑賞したひとりである、俳優で映画監督のリチャード・アッテンボロー(Richard Attenborough)氏は絶賛し、2003年、アカデミー賞授賞式を主催する映画芸術科学アカデミー(Academy of Motion Pictures, Arts, and Sciences)での保管と復元を行っている。