米発の金融危機が世界全体を覆う中、比較的影響が少ないとされつつも景気ばかりか経済成長に減速感が否めないインドでは、しかし、この逆境を利用した新しいビジネスが産声を上げつつある。
「製造の虎」「東洋のマンチェスター」と呼ばれるグジャラートでは、タタが開発した史上最も安い乗用車「ナノ」工場の当初進出先であった、西ベンガル州のシングールに代わる新たな誘致先として白羽の矢が立った。
このことから、金融危機による痛手を打開できるキーが眠っているものとして、インド国内外から熱い期待を注がれている。
この街で逆境を機会に転換させた模範企業が、1930年代の世界恐慌時に大成功した繊維製品メーカー、アルビンド(Arvind)グループである。
当時、インドにおける繊維産業全体は暗雲が覆い、アーメダバード中の繊維工場が不振で次々とのれんを畳んでいた頃、創業者であるカストゥルバイ・アルビンドは英国内で価格が下落していた織物機械を30%もの安値で輸入、極上の繊維製品を大量に生産したアルビンドの先見の明は大当たりし、現在は国内最大のデニムブランドとして確立されている。
いま、歴史という試練は、昨年末の株価93.50ルピーに対し16.85ルピー(20日の終値)とアルビンド・グループを再び襲っているが、カストゥルバイ氏の孫にあたるサナンド氏らは慌てていない。
アーメダバード西部の「ナノ」工場予定地周辺に数万坪規模の広大な土地を購入、工場で就業する工員たちのための住居を建設し、1戸あたり100万ルピーという破格の値段で提供することを目指している。