デリーで開催されている通称美食サミット、「CSSG Gastronomy Summit 2012」に出席するために訪れている、インド人移民の多い英国やオーストラリアのミシュラン級レストランで活躍する一流料理長たちが、インド料理こそバラエティが広く、かつ豊かな伝統を誇る主流料理として扱われるべきであるという意見を提出し、話題を集めている。
「ホールスパイスの用法や調味は複雑で、また季節の新鮮な野菜の絶妙な味わいに合わせる熟練した経験と技能が必要だ。インド料理の味わいと薬効には近年、世界中が注目している。インド料理は各国料理に並ぶ主流料理として据えられても然るべきだ。また、例えば現在、秋を迎えた英国で営業するインド料理店では根菜を取り入れるなど、英国の野菜を用いた料理を積極的に開発するのがよい」英国でミシュラン級の高級料理店「Yorke Arms」を経営するフランシス・アトキンス(Frances Atkins)さん。
アトキンスさんはインド庶民に親しまれているレンズ豆の炊き込みライス「キチディ」をアレンジし、レンズ豆の代わりにオクラを入れてふっくら炊き上げ、シーフードなどを加えてこくを出した創作料理を提供しているほどのインド料理ファン。
また英国でセレブリティ・シェフとして活躍する、やはりミシュラン級レストランを切り盛りするインド料理家アンジュム・アナンド(Anjum Anand)さんは、「国民の3分の2が菜食主義者であるインドにおいて、豆や野菜のみを用いた料理のバラエティの多さはおそらく世界一だろう。タマネギ、ショウガ、トマト、ニンニク、ヨーグルトさえあれば、美味なインド料理があっという間にできてしまう点も見逃せない」と、まもなくインドで出版される自身の著作「Anjum's Vegetarian Feast」をPRした。
今回の美食サミットでは、各国の料理を組み合わせたフュージョン料理を称える風潮がまことしやかに横行する中で、「原点に忠実な料理(return-to-the-roots)」をテーマに、世界の第一線で活躍する料理人たちが意見を交わした。