ムンバイのバーバー原子力研究センター(Bhabha Atomic Research Centre:BARC)が、パーキンソン病や神経内分泌癌などの早期発見が低費用で実施できるようになったことを発表した。
検査に用いる放射性医薬品はこれまで輸入に頼るしかなく、非常に高額で時間もかかっていたが、同じくムンバイにあるボンベイ病院(Bombay Hospital)との共同研究により、国産開発された放射性医薬品を用いることのできる「DaT Scan」と呼ばれるドーパミン輸送システムと「HYNIC TOC Scan」と呼ばれる、新しいスキャン法を開発した。
開発を統率したボンベイ病院のクリシュナ(BA Krishna)医師によれば、このスキャン法により癌細胞の早期発見と、より患部に集中した治療が可能となる。
さらに以前は2万8000ルピーかかっていた診断費用は8000ルピー程度にまで抑えることができる。
試験的に導入していた過去9カ月間で、パーキンソン病の患者9名と神経内分泌癌患者8名の診断に成功した。
「開発から認可まで、およそ2年かかった。今後はあらゆる核医学分野で活用できるようにしていきたい」開発に関わったBARC放射線医薬品部部長のピッライ氏(Dr MRA Pillai)は語る。
スキャンの4時間前に患者に放射性医薬品を静脈注射すると、アイソトープが脳や神経内分泌腫瘍の患部に付着するため、MRIやCTでは分からない初期段階の腫瘍の正確な位置がスキャンによって反映できるようになる。