
ラジャスターン州のとある農村、鮮やかな色のサリーを身にまとい、毎日自宅の屋根に設置した太陽光発電パネルを清掃する19歳の若い女性、サントーシュ・デヴィ(Santosh Devi)さんの姿は道行く人の目に留まる。
サントーシュさんはインドで初めて、いわゆる「アウトカースト(Dalit)」出身の「ソーラー技術者」として活躍しているのだ。
少しずつカースト制度に対する考え方が軟化しつつある都市とは異なり根強い差別が残っている農村部において、サントーシュさんは今や村で唯一のソーラー技術者として身分を問わず人々から頼られる存在だ。
自宅で夫やその家族、幼い息子と暮らし、家事をこなしながらソーラー・ランプの修理を請け負っている。
安定した電力の供給が得られていないインドやアフリカの辺境地では、パネルを設置しただけで発電できる太陽光発電の可能性には大きな注目が集まっている。
サントーシュさんはジャイプールから100キロほどの町ティロニア(Tilonia)にある、主に農村部の若者を対象に、僅少な学費で農村開発技術などを習得できるようにすることを主目的に1972年に設立されたベアフット大学(Barefoot College)で太陽光発電技術を学んだ。
設立者のサンジット・ローイ(Sanjit Roy)氏(64)によれば、設立から今日まで1万5000人の女性が様々な技術を身につけて巣立って行ったという。
さらに同大学はインド国内のみならず、アフガニスタンやウズベキスタン、アフリカ諸国からの学生も受け入れている。
現在、インド農村部の世帯の44%で電気の供給が得られておらず、またインドの人口の72%を占める農村部の人々は依然化石燃料に大きく頼っているというデータもある。
サントーシュさんのように細腕ひとつで家族の生活を支え、自宅を建てたりもするソーラー技術者が台頭しつつある農村部では、女性の自立はもちろん、太陽光発電の恩恵を受けて余裕のある暮らしを送れるようになってきた世帯の若者たちに刺激を与えつつある。