インドルピーは、低迷するインド経済を背景に、対ドルレートが2013年8月に69ルピーという最安値を記録したのち、現在は同60ルピー周辺で安定、今後も当面はルピー高傾向となるものと予測されている。
モルガン・スタンレーがまとめた調査によれば、2014年から2024年までの10年間にインドに向かう投資額は、現在の6000億ドルから1兆9000億ドルに跳ね上がり、GDPに占める外国直接投資額は現在の1.5%から2.5%に上昇、いっぽうの経常赤字は2.5%のままとなるだろうと予測されている。
こうした要因全てが今後10年間はルピーを支持するものと見られる一方、2024年時点までにおよそ30%ほどのルピー安が進み、対ドル75〜85ルピーで落ち着くものとしている。
モルガン・スタンレーでは、まずインド準備銀行からの大きな圧力がかかるだろうと予想している。
インド準備銀行は今後数年間は、原油価格の急激な高騰や米国における金利の上昇など、外部のショックからインドルピーを保護するためにも、ドルをインドルピーで購入する唯一の買い手であり続けるため、ルピーの上昇スピードがある程度緩和される。
モルガン・スタンレーでは、次のように説明している。
「インドの輸入カバー率は、世界的な金融危機以降、大幅に悪化し、インド準備銀行は12カ月分以上にあたる1000億から1500億ドルの準備金を確保するための段階的な調整を必要とした。一方、現在の輸出カバー率も2.26カ月分と、新興国平均4カ月分を下回り、外国為替準備金の構築が急がれる」
インドのように高いインフレが観察される国では、まず他の通貨と比較した場合のルピーの買い控えを招き、また貿易相手国との取引関係の中で通貨の価値が下降する傾向にあることから、「米国の消費者物価指数の上昇率が、目標である2%に近づき、インドが今後数年間はインフレ路線をたどると仮定すると、米国に対するインフレの差は依然として30〜35%の購買力平価減少に相当し、結果として10年後は対ドル75〜85ルピーまでのルピー安が進行する」と、モルガン・スタンレーでは指摘している。